大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

高松高等裁判所 昭和44年(う)56号 判決

主たる事務所の所在地

高知市新京橋一五番地

株式会社 宮田商店

右代表者代表取締役社長

宮田民恵

右会社に対する旧法人税法違反並びに法人税法違反被告事件について、高知地方裁判所が昭和四三年一一月二八日言渡した判決に対し、被告人の弁護人より適法な控訴の申立があつたので、当裁判所は、検察官島岡寛三出席の上審理して、次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

理由

本件控訴の趣意は、記録に編綴してある弁護人大坪憲三作成名義の控訴趣意書に記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。

所論は要するに、原判決の量刑が重きに過ぎて不当であるというのである。

そこで記録を調査して検討すると、被告会社の本件逋脱税額は合計一、一一五万円余の多額にのぼるものであり、数年にわたる計画的犯行であつて、その動機や使途についても特に憫諒すべき点は認められない事案である。なるほど本件犯行が発覚するや、被告会社の社長、専務は反省改悟して捜査に全面的に協力し、また既に重加算税等三千数百万円を納付しているのであるが、これら被告会社に有利な情状を十分考慮しても、被告会社を罰金二〇〇万円に処した原判決の量刑が重きに過ぎるものとの認められない。論旨は採用することができない。

よつて、刑訴法三九六条により、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 横江文幹 裁判官 三木光一 裁判官 奥村正策)

控訴趣意書

被告人 株式会社 宮田商店

右の者に対する旧法人税法違反等被告事件につき左記のとおり控訴の趣意を提出する。

昭和四十四年三月二十七日

弁護人 大坪憲三

高松高等裁判所 御中

控訴の趣意

原判決の量刑は不当である

本件法人税の逋脱は、被告人宮田整八が個人的な金銭の必要に迫られ、偶発的、無計画に行なつたもので、査察事件としては規模もさ程大きいものではない。

そして、本件犯則が国税局に指摘されるや、被告人等は深く反省し、調査に全面的な協力をしている。

以上のような事情を考慮すると、被告人等に対する原審判決は、罰条に定められた法定刑から考え、酷に失すると考えるので(特に罰金については、その資金繰りに若干の時間を要するので)、敢て控訴に及んだものである。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例